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HISTORICAL ARCHIVE / 2007-06

中国プロ野球に夢をかけて~天津ライオンズ・松岡 功祐氏に聞く

過去掲載記事をアーカイブから復元したものです。本文は当時の表記を維持しています。
出典・公開日時・復元状況
原掲載先
スポーツナビ+/スポーツCHINA〜体育中国
筆者(原ページ署名)
朝倉浩之
当時の公開日時
2007/06/18 16:02 GMT+9
公開日時の根拠
dc:dateとページ内日付・投稿時刻を照合一致
復元元URL
http://www.plus-blog.sportsnavi.com:80/asa8043/article/88
保存日時(UTC)
2007-06-20T18:18:58Z
Internet Archive
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当時の公開日時:2007/06/18 16:02 GMT+9 / 筆者:朝倉浩之

中国プロ野球はいよいよ大詰めを迎えている。先週末にプレーオフがあり、勝ち上がった天津ライオンズと広東レオパーズが今週土曜日から“中国一”をかけた優勝決定戦に臨む。天津が勝てば、2年連続3度目。広東が勝てば、リーグ開始以来初優勝だ。  さて、この天津ライオンズのコーチ陣の中に、一人の日本人がいる。松岡功祐さん(64歳・熊本県出身)。明治大学、社会人を経て、1966年、大洋ホエルズ(当時)にドラフト1位で入団。現役引退後は、横浜ベイスターズの守備・走塁コーチを経て、スカウトとなった。  今年3月、所属の横浜ベイスターズが提携関係を結んでいる天津ライオンズの台湾キャンプにコーチとして派遣されたのをきっかけに、焦益監督の招聘を受け、天津にやってきた。他球団では、無錫に本拠地を置くホープスターズにロッテから派遣されたコーチがいるが、シーズンを通して、ベンチに座ったのは松岡氏一人である。  試合前のシートノックは松岡さんが打つ。チームの守備力の良しあしは、シートノックのボール回しを見れば、すぐに分かるが、他球団に比べて、抜きんでていることが一目瞭然だ。松岡さんは、日本語と中国語をミックスした“不思議な”言葉で檄を送るのだが、「野球」という共通語があればこそだろう。選手たちのノックを受ける表情を見れば、松岡さんがこの半年、よく鍛え上げてきたことがよく分かる。  「天津は素晴らしいチーム。特にあのキャッチャーとセンターがいいんだよ。外国人枠がなければ、すぐにでも日本でやれるんだけどね」と教え子たちの練習に目を細める。もうすっかり、「天津の人」という感じだ。  そんな松岡氏に中国野球の現状を語ってもらった。 ――現在の生活は? もう環境にはすっかり慣れた。天津の体育総局内の宿舎に住んで、チームには常に随行して、ベンチに入っている。 ――天津から招かれた時の気持ちは? 3月の台湾キャンプで、可能性のある選手が大勢いる、という印象だった。年齢的にはキツイが、自分を求めてくれる場所があるなら、と二つ返事でオーケーした。 ――天津ライオンズの最初の印象は? (松岡)まずレギュラーと1軍半の差が大きい。だから若手をまず鍛えて、底上げしなければ、というのが当初の印象だった。ベテランは野球をよく知っているなという印象。一方で、若手の力不足が目立った。 ――それはなぜ? (松岡)天津は中国で最初に野球が伝来したところ。昔から、中国では珍しく野球に親しんできた人が多い。だからベテラン選手は小さいころから野球をやっている人が意外と多い。だが、サッカーやバスケットが人気スポーツとなっている「今」の子は、どうしても野球を「知らない」子が多い。その場合、表面的なプレーはうまくても、とっさの判断力に欠ける場合が多い。育ってきた環境の問題が大きいだろう。 ――天津の野球環境は? (松岡)非常に素晴らしい。ファンの皆さんも野球をよく知っていて、声援を送るタイミングもあっている。土地柄だろう。他球場と比べても、お客さんの数が一番多いのは天津だ。 ――言葉の問題は? (松岡)多少、中国語ができるようになったが(笑)、実際の野球の指導のときは、自分で動いて教えればいいから、言葉はほとんどいらない。あとは元中日の呂建剛がいるし(右のエース)、コーチ陣にも日本滞在経験がある人がいる。ミーティングのときは彼らに手伝ってもらっている。 ――今のチームの状況は? (松岡)いいチームに育ったなあという感じ。指導陣の野球に対する情熱、焦監督の教育が選手に行きわたっていて、私は守りの面でサポートしている。日本でやっても、おかしくないレベルの選手はいるが、残念ながら、今のところ、外国人枠を一つ使ってでも中国人選手を・・というレベルにはないのが残念だ。 ――中国野球の問題点は? (松岡)何といっても金銭的な面だろう。プロスポーツはやっぱりお金に夢がなくてはならない。がんばって、結果を出せば、何千万、何億と稼げる・・その動機がなければ、なかなかプロ選手として向上はない。今の選手たちの平均月収は3000元(4万5000円)ほど(大卒の平均月収とほぼ同じ)。国情の違いもあるが、先行のサッカーやバスケットでは、それなりの待遇がなされている。ここを改善していかないと、発展は難しいだろう。 ――それにはプレーヤーやチームだけの努力だけでは難しそうだが・・ (松岡)例えば、今は入場料も無料。お客さんも、天津はともかく、ほとんどの球場のお客さんは、野球を知らない人が多い。そんな中で野球をやるということは、興行的にも厳しいし、何より、選手たちのモチベーションも上がらない。 ――そのためには何が必要か (松岡)短期的には、やはり来年のオリンピックが大きなポイントだろう。世界の注目が集まるこの舞台で、まずは中国代表がここでどれだけやれるか。そして、日本を始め、世界の各国が中国の皆さんの前でどんな試合を見せられるか、これが中国での野球人気のアップ、そして資金面の解決のためのターニングポイントとなる。 ――松岡さん自身の今後は? (松岡)球団同士の契約は今のところ、今シーズン限りで、来季も続けて指導できるかどうかはわからないが、私個人としては、ぜひ続いてチームを見守りたい。年齢的なこともあって、球団からイラナイと言われるかもしれないが(笑)そうなったら、ボランティアで、こちらにわたって、これからの野球人生を中国野球の発展に尽くしてみたい、という思いはある。 ――そこまで思う中国野球の魅力は? (松岡)野球というもののあり方が変化し続けていることだろう。中国の発展とともに、中国野球自体もどんどん変わっていっている。その「変化」を目の当たりにできる、間近で感じられるという魅力は何物にも代えがたい。また選手たちは私にとっては、もう息子、いや孫のような世代。そんな彼らと一緒に、中国野球の新時代を切り開いていけるというのは私にとって、非常に面白い仕事だと思う。 ――今日はどうもありがとうございました。 (松岡)ありがとうございました。  中国野球リーグはまだ発展の途上。実はその中に、日本の野球関係者が担う役割は大きい。人材・技術面では、天津ライオンズと横浜ベイスターズのみならず、北京と読売巨人、ホープスターズとロッテ、広東レオパーズと広島カープなど、6球団全てが、いずれも日本の球団と提携を結び、キャンプへの参加や指導者養成などを行っている。また資金面ではキャノン、全日空がリーグ全体のスポンサーについているし、各球団にも日本企業がバックアップしている。さらに、運営面では、ソフトバンクの傘下にある「中国棒球企画」が広報活動やコンサルティングを担っている。前回、野球リーグ開幕時の記事で、“日本”が前面に出過ぎることは十分に注意すべきであると書いた。(下記、アドレス参照)だが、現実問題として、動き出したばかりの中国野球が前進していくためには、まだまだアジアの野球先進国である日本がノウハウを積極的に伝え、手を引っ張っていく必要があり、それが中国のみならず、アジアの野球振興、スポーツ文化の高揚に伝わる・・というのが日本の関係者の思いだ。その熱い思いは、取材者として、また一人の野球ファンとして、大いに共感する。  もちろん、企業側にとっては、先行投資という意味合いもあり、将来の巨大市場に対する目論見があるのも事実。だが、そういう損得を抜きにした何かを、取材を通じて、感じるのも事実だ。野球を純粋に愛し、中国の人たちに、ぜひ、この素晴らしいスポーツを楽しんでもらいたいという強い思いを抱いて、力を尽くしている日本人がいることをぜひ知っておいていただきたい。 参考記事:http://www.plus-blog.sportsnavi.com/asa8043/article/57
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