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HISTORICAL ARCHIVE / 2007-04

スポーツ”侵略”か”協力”か。中国野球リーグに思う

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出典・公開日時・復元状況
原掲載先
スポーツナビ+/スポーツCHINA〜体育中国
筆者(原ページ署名)
asa8043
当時の公開日時
2007/04/06 15:35 GMT+9
公開日時の根拠
dc:dateとページ内日付・投稿時刻を照合一致
復元元URL
http://www.plus-blog.sportsnavi.com:80/asa8043/article/57
保存日時(UTC)
2007-04-28T12:01:59Z
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当時の公開日時:2007/04/06 15:35 GMT+9 / 筆者:朝倉浩之

中国に「プロ野球」が存在することをご存知だろうか。2005年から始まった野球の「アジアシリーズ」に選抜チームとして出場し、その存在を初めて知った方も多いかもしれない。 「中国野球リーグ(CBL)」は2002年に誕生した中国のプロ野球リーグ。日本と同じくフランチャイズ制をとっており、北京、天津、上海、四川、広東、江蘇の6省・市の代表チームをそれぞれ地区別に2リーグに分け、約2ヶ月のレギュラーシーズンを戦った後、プレーオフ、最終シリーズと進んで、中国一を決める。 日本のプロ野球と異なり、来年の北京五輪では野球で上位進出を目指す中国にとって、その強化策という意味合いも強い、やや特殊な野球リーグである。 さて、その中国野球リーグ、今年は4月13日(金)に開幕する。それを前に、先週、各チームの監督・選手らが出席する記者会見が行われた。 今年は6月3日までがレギュラーシーズンで、その後、各リーグの1位と2位のタスキがけのプレーオフ、そして6月下旬の決勝シリーズへと進む。途中。5月20日にはオールスター戦も行われる。レギュラーシーズンは各地方局が、決勝シリーズは中国中央テレビによって全国放送される。 また今年から、「週末に野球を楽しもう」と題したキャンペーンを実施することも発表された。青少年向けの野球教室や試合前イベントを積極的に行うとともに、試合中は日本ではお馴染みの「風船飛ばし」を中国のファンにも体験してもらい、野球の面白さを知ってもらおうというものである。 実際、中国では野球というスポーツがほとんど知られていないこともあり、まず「野球の普及」「知名度アップ」を図ろう、というわけだ。 中国野球のこれからが非常に楽しみになる記者会見だったのだが、少し気になることがあった。 記者会見では、中国体育総局の副局長が中央に座り、その隣に総局の事務局長が陣取って、お決まりのコメントを述べる・・というのは、いつもの「中国スタイル」だったが、少し異なるのは、その隣に日本人が4人、並んでいたことだ。ソフトバンクが出資する「中国棒球企画」の深沢実樹社長と大木豊成取締役、そして日本プロ野球連盟の長谷川一雄事務局長、さらにキャノン中国の鈴木敬二副社長の4人である。 実はこの中国プロ野球と日本の関係は非常に密接である。 リーグそのものの運営は、基本的には、「中国野球協会」が前面に立っているものの、実質的には、日本の力が非常に大きい。リーグ全体のプロモーションを担当するのが、ソフトバンクが作った「中国棒球企画」、そしてリーグスポンサーがキャノンとミズノ。さらに各チームのスポンサーにも日立建機、全日空などが名を連ねている。 またリーグに参加する全てのチームは、日本の球団と提携関係を結んでいる。北京は読売ジャイアンツと、天津は横浜ベイスターズ、上海は阪神タイガース、広東は広島カープ、そして江蘇省を本拠地とする「ホープスターズ」は千葉ロッテと技術交流、指導者派遣などを行っているのだ。 そして、代表チームに関しては、毎年夏に日本に招き、日本のファームや社会人チームとの練習試合を行って技術向上に協力するなども行っている。 さらに、実は、先ほどのキャンペーンも、中国棒球企画によるプロモーション。日本のソフトバンク球団の宣伝ノウハウを生かしていこうというものである。まさに日本プロ野球が手に手をとって、中国野球を導いているという構図が生まれている。 中国棒球企画の深沢社長は「中国の人たちに野球の魅力を知ってもらい、いつかは球状を満員にしたい」と夢を語る。「スポーツを通じた交流」といえば、この野球を通じた日本と中国による“共同作業”は非常に具体的で分かりやすい。 日本プロ野球連盟の長谷川事務局長は、「世界ナンバーワンとなった日本の野球が、今度はアジア全体のレベルアップに貢献したい。そのためには中国野球の発展はなくてはならないものだ」といい、今後、“オリンピック後”も含めて協力体制をとっていく事を明言した。 私も野球とともに育ち、野球を愛するものの一人である。いつか中国の人たちと「野球」という共通項で話をすることができれば、どれだけ楽しいだろうと思う。この日中協力体制はスポーツのみに留まらない、大きな意義を持つ共同作業であると思う。 だが、今回の記者会見の姿が典型的だったのだが、あまりにも「日本色」が前面に出すぎている印象を受けた。 実際、記者会見の運営スタッフも日本人が関わっており、出席している記者たちが中国メディアであることを忘れれば、まるで日本の記者会見場にいるような錯覚さえ覚えてしまう。 野球リーグそのものの姿もそうである。スポンサーが基本的には全て日本企業というのは非常に気になる。現状では、野球に全く関心がない中国企業がスポンサーにつくのは難しいだろう。一方、スポンサーとなった日本企業には将来の市場を狙う目論見があり、先行投資的意味合いがある。実際、中国野球はまだまだ「金になるかどうか分からない」不透明なものであり、そこに投資をするという企業姿勢は、ただの利益目的だけではないはずで、その点には拍手を送りたい。 しかし、少し深読みしよう。中国の野球ファンの立場から見て、スポンサーが全て日本企業であることにやや奇妙な思いを抱くことはなかろうか。スポンサーは裏方とはいえ、選手たちは、その日本企業のマークをユニフォームにつけて、プレーすることになるのだ。少しうがった見方をすれば、「中国の野球市場を“食いもの”にするため、日本が寄ってたかって来ている・・・」と見られかねない。「スポーツ侵略」などという耳汚い言葉で、この「協力体制」にケチがつかないよう、十分に注意すべきだ。 想像してほしい。日本で・・・例えば、卓球のプロリーグの普及を図ろうと、中国が協力したとして、そのリーグ全体、そして選手のスポンサーが全て中国企業で占められたとしたら。もちろん、それはそれで、一つの「スポーツ交流」であり、非常に面白い試みではあるが、何となく複雑な気持ちにならないだろうか。 中国プロ野球はまだよちよち歩きの段階である。だから、隣国であり、“野球大国”である日本の協力はなくてはならない。だが、出来るだけ早いうちに、中国企業のスポンサーがメインとなり、「物心両面」で“中国が作り上げる野球リーグ”に育てなければならない。現状の「日本が手に手をとって」という状況が「異常」であることはしっかりと認識すべきである。「中国に野球を」と夢をもってがんばってらっしゃる方にエールを送りつつ、あえて感じたことを記したい。 そしてもちろん、私もいつしか、日本と中国が世界の頂点でともに白球を追える日が来れば・・と願っている一人である。
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