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HISTORICAL ARCHIVE / 2007-11

チケット騒動・・・13億市民を使った”実験”は止めるべき

過去掲載記事をアーカイブから復元したものです。本文は当時の表記を維持しています。
出典・公開日時・復元状況
原掲載先
スポーツナビ+/スポーツCHINA〜体育中国
筆者(原ページ署名)
朝倉浩之
当時の公開日時
2007/11/01 12:17 GMT+9
公開日時の根拠
dc:dateとページ内日付・投稿時刻を照合一致
復元元URL
http://www.plus-blog.sportsnavi.com:80/asa8043/article/268
保存日時(UTC)
2007-11-09T17:08:52Z
Internet Archive
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当時の公開日時:2007/11/01 12:17 GMT+9 / 筆者:朝倉浩之

10月30日、北京五輪のチケット第2段階発売で、大パニックが起きた。窓口、電話、インターネットいずれも、予想以上の人々が殺到したため、結果的に、ほとんどまともに販売を終えないうちに、システムダウン、閉鎖という結果となった。 この問題について、昨日、記者会見が行われ、状況説明があった。 それによると、各メディアが報道している通り、30日午前9:00に販売が開始された瞬間から、インターネット、電話ともに、とてつもない数のアクセス、通話が流れ込み、システムがパンクした。一時間当たり100万アクセスの許容量を持つウェブサイトに、その8倍の800万アクセスがなだれ込んだ。 一時間あたり15万枚のチケットの処理能力に対して、発売後1時間で、20万枚の販売要求があり、ネットワークは完全にパンク。前日夜から行列が出来た中国銀行の窓口も含めて、チケットが全く購入できない情況となった。 その後、昼1時ごろから、緊急対策をとり、夕方5時ごろにかけて、若干の改善が見られたが、やはりネットワークの安定は取り戻せず、夕方6時、システムの閉鎖を決定した。その間に、販売されたチケットは4万3千枚。全体の90パーセントはインターネットからのものだったということだ。 ここからは、私の私見である。 私はオリンピックに向かって変化を続ける北京を見つめる者の一人として、この件が残念でならない。 これまで、海外を中心として、北京の五輪開催能力に疑問を投げかける論議があったものの、私自身は、『全く心配ない』と考えていた。それは、プレ五輪を始めとする各取り組みを取材してきた私の実感だった。 私は、大会運営の中で、多少の不手際があったとしても、それはあくまでも来年の向けての『学習』の段階であって、それを改善することによって、来年の成功につなげればいい、と考えている。むしろ、それに対して、過剰な報道をする日本を始めとした各メディアに反感を感じていた。 だが、今回の『チケットパニック』は『学習段階』という言い訳はできない組織委員会の大失態だと思う。 当局の説明によると、過去の販売のやり方に習い、またチケット販売のノウハウもアメリカの大手チケット会社が入って万全を期したとしているが、だとすれば、五輪の到来を待ちわびる13億の中国人を甘く見ていたとしかいいようがない。 『早い者勝ち』などという形式を、この中国でやれば、どういう結果になるのかは十分分かっていたはずである。我々、在住者の中でも販売の日を前に『本当に大丈夫なのか?』と心配する声が挙がっていた。 だが、販売をそれでも敢えて実行するからには、それなりの方策があるものと思っていたが、案の定、処理能力をオーバーして、発売中止というのは、あまりにもお粗末だ。 『確実に大丈夫』という確信があって、“早い者勝ち”のやり方をとったのだろうか。私には、13億人の市民を巻き添えにして『チケット販売の大実験』をやったようにしか見えない。 何よりも、五輪を楽しみにして、チケットを手に入れようと、前の晩から行列を作っていた一般市民に無駄足を踏ませた『裏切り』の罪は大きい。 『北京に五輪を開催する能力があるのか』 正直、今回の一件に関しては、私もそんな疑問を抱かざるをえなかった。13億の人々が住む国で、とてつもなく大きな『興行』をやってのけようというのだから、そう簡単なことではない。時には失敗もあるだろうし、それを改善していく努力が伴っていれば大丈夫だ。 だが、今回のチケット問題は、『試行錯誤の一つ』という言い訳は利かない。そこには、単にコンピューターの容量が小さかったという技術的要因にとどまらない、運営側の致命的な欠点が隠れていると思う。それは、国内の莫大な数の市民に、いかに効率よく、安全に、そして公平に五輪を楽しんでもらうか・・というノウハウをまだ見出していないという、致命的な欠点である。 その部分がまだ十分でない情況で、オリンピックに突入すれば、今回のチケット騒動以上の大パニックが発生するような気がしてならない。 今回の問題について、当局は11月5日には新しいチケット販売方法を策定し、発表するとしている。そのためにはシステムの更新も視野に入れるが、ただ今回のような『800万』、もしくはそれ以上というアクセスに対応することは事実上、不可能だとしている。 もちろん、目下のところ、このチケット問題で、より安全で公平なやり方を早いうちに捻り出すことが何よりも先決だ。だが、市民を実験台に使って、その場限りの運営をしていくようなやり方は、もう二度と繰り返してはならないと思う。
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