← 歴史的アーカイブ一覧へ来年8月の北京五輪を記念して中国・海南島から北京まで約3600キロのマラソンに挑んだ女の子、張彗敏ちゃん(8)が28日、現地時間の朝5時、天安門広場でゴールした。到着後、北京名物の『国旗掲揚式』を見学した。
今回のマラソンをめぐっては中国メディアの注目を集める一方、専門家らはコーチ役の父親に対して「児童虐待」などと批判。しかし父親は「2016年の五輪に参加させるのが夢だ」と述べ、来年はチベットから上海までのマラソンを行うとしている。
張彗敏ちゃんは7月3日に海南島を出発、57日間かけて、3558キロを走破。1日あたり60~80キロを走ったとされる。
張彗敏ちゃんは今年1月1日、海南島で行われたマラソンに初出場し、いきなり2位に入って、周囲を驚かせた。3月31日にはアモイマラソンに出場。2万人の参加者の中、女子の部で100位以内にはいった。そして5月にはフルマラソンで3時間44分の成績を出して、上位20位以内に入った。マラソンの『天才少女』とも言われている彼女。だが、今回の『挑戦』は父親が多額の企業協賛金を得たことなどもあって、『娘を使った売名行為』「虐待」などと批判する声も大きい。
私自身はこの『挑戦』そのものの信憑性に疑問を抱いているのだが(つまり本当に走りきったのだろうかという疑問)、とりあえずは、彼らが一体どんな親子なのか・・その一端が見えるインタビューを北京の夕刊紙「法制晩報」が掲載したので、それを転載してみたい。
――敏ちゃん(張彗敏・女の子)、あなたはなぜ海南島から北京まで走ってこようとおもったんですか?
「走りたかったからです。私は月の上を走りたいって思っています。お父さんが言ったんです。月の上を走るなら、万里の長城に上らないとだめだって。だから、北京にきたんですよ。」
――海南島から北京まで約4000キロもあるじゃないですか。大変じゃありませんでしたか?
「全然!私は走るのが好き。普段も、道を行くときは走ってるんです。ただ動くのが好きなんです。」
――道中で怖かったことはある?
「”ワンワン“って、一番怖かったのが犬の鳴き声。もっと怖かったのは犬が追いかけてきたこと・・。海南島から広東省へいく途中、犬に追いかけられたし・・あと河北省とかでも犬に追いかけられた。あと走っているときに、山の上から、大きな石が落ちてきたことがあったんですよ。もう少しで当たりそうになって・・ほんとびっくりした・・」
――道中でそんなに怖いことがあったのに、どうして北京まできたの?
「万里の長城に上るため、そして天安門にくるためですよ。あと困難を克服して、お父さんと一緒に夢を実現するため!」
――張建民さん(父)、あんたの家は経済的に決して恵まれていないということですが、それでもこんな挑戦をされた。これはなんだか矛盾していませんか?あと子供さんの栄養をつけてあげるために毎日、どれくらいのお金が必要でしたか?
「彗敏が毎日走るためには、どうしても栄養のあるものが必要でした。卵、牛乳など、大体一日50元くらい(750円ほど)必要でした。これは我々にとっては決して安いものではありませんでした。このために私は自分の商売を投げ打ちました。妻の一ヶ月数百元の年金とアルバイトのお金、あとちょっとした商売と・・そして社会の良心ある人々や企業からの義捐金で、今は子供の食費については問題ありません。彼女が13歳になって、体育学校に入ったあとは、またアルバイトに出て、彼女の学費と食費を稼ぐつもりです。もちろん、そのときには社会各界の理解と支援を求めるつもりですが。」
――すでに多くの企業や個人があなたに『愛の手』を差し出しているのではありませんか?
「ええ。どんな形であれ、我々を助けてくれた人、企業に感謝したい。だが、ある種のお金は絶対に受け取らなかった。それは悪意に満ちたものだったから。私たちが広州についたとき、ある企業の社長から電話があった。彼は言った。いますぐ、娘への“虐待”をやめて、海南島へ帰りなさいと。そして、私たちが帰ればすぐに10万元(160万円)を振り込んであげるからと言った。私はこういった。私と娘の行動は私たちの理想を実現するためのものだと。向こうは今度は、40万元やるから・・と言ってきた。とにかく我々の行動をやめさせたくて仕様がないようだった。」
――あなたは何度も「私たち」という言葉を使うが、8歳の女の子には基本的な判断能力はない。ある専門家もいっているが、娘さんの将来の健康に大きな障害をもたらす可能性があるのではないか。あくまで、あなたのため、であって、娘さんが本当にしたいことではないのでは?
「私のもう一人の娘には、走る才能はない。だが、彼女の成績は人々を驚かせる走りをする。今、8歳の子供が長距離を走る能力、その是非については、いかなる運動学の教科書にも、根拠あるデータとして出ていない。専門家の考えは、絶対といえるのだろうか?率直に言うが、一部の専門家は本の中だけで物を言っていて、実践が伴っていない。彼らの考えも迷信に過ぎないと思う。」
――敏ちゃん(張彗敏・女の子)、ここにポテトチップス、果物の缶詰、そして牛乳・・美味しいものがたくさんあります。これは、お父さんが全部買ってくれたの?
「知らない・・でも一番好きなのはポテトチップス。あと毎日、ご飯のときは、ジャガイモの炒め物を食べるんです」
――じゃあ、ジャガイモがすごく好きなんですね。
「ううん。ただジャガイモの炒め物が好きなだけ。」
――これらはみんなお父さんが買ってくれたものでしょう。お父さんの苦労は知ってる?
「知らない・・もう遊びにいくね。じゃあね。」
(引用終わり)
ここから見えてくるのは、非常に無邪気な娘と、少し奇妙だが、信念は持って「いそう」な父・・という親子像が見えてくる。中国の地元メディアやインターネットの書き込みでは「マラソンの神童」などと評価するコメントがある一方、「親の身勝手」「無理強いだ」などの論調も多い。ただ、確かに彼女が、今年のマラソンで8歳としては驚異的な成績を残しているのは事実。今回の挑戦が本当かどうかはともかくとして、こんな無謀な挑戦で注目を集めるようなことをせずとも普通にやっていれば将来は・・・という気もする。
ただ、彼らのように経済状態が裕福ではない人々が、世間の注目を集めることで、『資金集め』をするという“手口”が流行しているのも現実だ。まわりがこうやって騒ぎ立てることで、よりその効果は増す。
「目標は2016年のオリンピック」と父は言う。いや、十分に狙えると思う。だが、それまでに「燃え尽き」させることなく、大切に育ててあげて欲しい・・と思うのだが。
張彗敏ちゃん(娘)
1999年1月7日生まれ。今年9月から小学校3年生になる。(中国は9月入学)
張建民さん(父)
今年54歳。海南島出身。一般の労働者家庭に生まれた。幼いころから運動神経がよく、大のスポーツ好き。陸上の中長距離の大会出場経験もある。高校卒業後、中学校の卓球の指導者を務めていたこともある。
HISTORICAL ARCHIVE / 2007-08
虐待か否か?マラソン少女が天安門にゴール・・インタビューから見える親子像
過去掲載記事をアーカイブから復元したものです。本文は当時の表記を維持しています。
出典・公開日時・復元状況
- 原掲載先
- スポーツナビ+/スポーツCHINA〜体育中国
- 筆者(原ページ署名)
- 朝倉浩之
- 当時の公開日時
- 2007/08/28 22:07 GMT+9
- 公開日時の根拠
- dc:dateとページ内日付・投稿時刻を照合一致
- 復元元URL
- http://www.plus-blog.sportsnavi.com:80/asa8043/article/186
- 保存日時(UTC)
- 2008-01-15T09:48:14Z
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